フェルメール『小路』の住所の発見

デルフトの小さな通りにある場所とその意義

Rijksmuseum

アムステルダム国立美術館

View of Houses in Delft, Known as ‘The Little Street’(ca. 1658) - 作者: Vermeer, JohannesRijksmuseum

『小路』へようこそ

「フェルメールの『小路』がどこにあるのかという問に対する答えは、フェルメールによるこの絵を観察する上でも、芸術家としてのフェルメールのイメージを理解する上でも重要な意義があります。」- ピーター ルーロフス(アムステルダム国立美術館で 17 世紀の絵画を担当する学芸員)

オランダの画家ヨハネス フェルメールが 1658 年頃に製作した世界的に有名な『小路』ですが、史料の新たな研究によりその正確な位置を特定することが可能になりました。この絵はデルフトの住宅の景観としてよく知られていますが、フェルメールが静かな通りと数人の人物を描いた風景画としては唯一の作品です。

フェルメールの『小路』の位置の特定は、2015 年 11 月 19 日から 2016 年 3 月 13 日にアムステルダム国立美術館で行われた展覧会のテーマでした。

フェルメール(1632~1675 年)は、さまざまな素材の描写に細心の注意を払っています。たとえば、風雨にさらされた石積みのレンガや…

…鉛枠の窓や白い壁の輝きなどに、それが表れています。

ある部分は厚く、またある部分は薄く絵の具が塗られています。

表面が滑らかな部分もあれば、粗い箇所もあります。

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『小路』の住所

アムステルダム大学の美術史の教授フランス グリゼンハウトは、これまで顧みられることのなかった 17 世紀の史料を参考にして住所を特定しました。こうした記録には、デルフトの小さな通りが実在した場所が明確に記されていたのです。

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長年にわたってデルフトのさまざまな住所が『小路』の場所であると言われてきましたが、どれも説得力に欠けていました。

新たな提唱者であるグリゼンハウト教授は、自身の研究をさらに詳細なものにし、それにより 1667 年の「デルフト運河浚渫台帳」、通称「運河維持費の記録帳簿」という決定的な史料が導き出されました。これは、デルフトに住居を構えていた人々が運河の浚渫および埠頭の維持のために支払った税金の額を記した帳簿です。この帳簿には、フェルメールが生きた時代のデルフトの運河沿いに並ぶすべての家屋とそれらの間にあるすべての通路の幅について、15 センチ単位の正確さで記されていました。

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グリゼンハウト教授は、現在のデルフトのフラミング通りにある 40 番地および 42 番地を、かの場所であると判断しました。

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運河の反対側から見たフラミング通り 40 番地と 42 番地の景色。

View of Houses in Delft, Known as ‘The Little Street’(ca. 1658) - 作者: Vermeer, JohannesRijksmuseum

それぞれの家は約 6.3 メートルの幅を持ち、その間には約 1.2 メートル幅の隣接する 2 つの通路がありました。

家屋の位置およびその後ろにある小さな中庭の位置の研究をさらに進めると、実際の配置が絵画と正確に一致することがわかりました。当時のデルフトには、この史料に一致する場所はここしかありませんでした。

内臓通り

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現在この場所にある家屋は、19 世紀末に建てられました。『小路』に描かれた面影を残しているのは、右側の家屋の印象的な門と通路のみです。

View of Houses in Delft, Known as ‘The Little Street’(ca. 1658) - 作者: Vermeer, JohannesRijksmuseum

また、この調査によって、『小路』に描かれた右側の家は父親の妹で、フェルメールの叔母にあたる、未亡人のアーリアエントゲン クラース ファン デア ミンネの家であったことも明らかになりました。

彼女は 5 人の子どもたちを養うために牛の臓物などを売って生計を立てていたため、その家の横にある小路はペンスポート(内臓通り)として人々に知られていました。フェルメールの母と妹は、同じ運河の斜向いにある家に住んでいたこともわかっています。したがって、ヨハネス フェルメールはその家に馴染みがあり、この場所には個人的な思い出が詰まっていたと考えられます。

フェルメール

この画家は、オランダのデルフトで生まれ育ち、その地で生涯を終えました。

The Milkmaid(ca. 1660) - 作者: Vermeer, JohannesRijksmuseum

フェルメールの作品は 35 点が現存しており、その中には 2 つの都市景観画があります。そのうちの 1 点がアムステルダム国立美術館所蔵の『デルフトの小路』(『小路』は初期にはこう呼ばれていました)、もう 1 点はハーグにあるマウリッツハイス美術館所蔵の『デルフトの眺望』です。アムステルダム国立美術館のコレクションには、他に『牛乳を注ぐ女』、『青衣の女』、『恋文』の 3 点のフェルメールの絵画があります。

The Love Letter(ca. 1669 - ca. 1670) - 作者: Vermeer, JohannesRijksmuseum

フェルメールの絵画はアムステルダム国立美術館の「名誉の間」に展示されており、そこでは毎日数千人がその作品を鑑賞しています。

View of Houses in Delft, Known as ‘The Little Street’(ca. 1658) - 作者: Vermeer, JohannesRijksmuseum

2016 年 3 月 25 日から 7 月 17 日まで開かれたフェルメールの『小路』をテーマにした展覧会がデルフトにあるプリンセンホフ博物館で開催されました。この博物館からはフェルメールの絵に描かれたすべての場所に簡単にアクセスすることができました。

提供: ストーリー

アムステルダム国立美術館
プリンセンホフ博物館(デルフト)
アムステルダム大学、フランス グリゼンハウト教授

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