源氏物語を見る ―土佐光吉とその工房による源氏絵―

室町時代に宮廷の絵所預をつとめた土佐派であるが、土佐家を継いだ弟子の光吉(1539〜1613)は、京都から、当時商業都市として栄えていた堺に工房を移した。
金箔をふんだんに使った源氏絵は、光吉工房の主力商品であった。

源氏物語図色紙「須磨」(Early 17th century (Momoyama period)) - 作者: 土佐光吉出典: Sakai City Museum

第12帖「須磨」(土佐光吉筆)

光源氏が須磨の寓居で桜を眺めながら京に思いを馳せていたところに、京から親友の頭中将が訪ねてくる場面。

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現在の須磨の海岸

源氏物語図色紙「藤裏葉」(Early 17th century (Momoyama period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第33帖「藤裏葉」(土佐派)

光源氏の息子の夕霧が、内大臣の藤花の宴に招かれ、内大臣の娘の雲居雁との結婚を許される場面が描かれる。

第1帖「桐壺」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第1帖 「桐壺」(土佐派)

源氏物語の主人公の光源氏は、桐壺帝の皇子として生まれたが、臣籍に降下した。この絵では、12歳の源氏の元服(男性の成人式)の儀式が行われている。御簾の向こうに座るのは桐壺帝。帝の前に控えるのは左大臣。

第2帖「帚木」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第2帖「帚木」(土佐派)

17歳になった光源氏が宮中で宿直していたところ、頭中将や左馬頭らが来て、女性の品評会がはじまった。この絵は、左馬頭の体験談を描いており、左馬頭が見た自分の恋人が別の男と合奏している場面。

第4帖「夕顔」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第4帖「夕顔」(土佐派)

年上の女性、六条御息所のもとに通うようになった光源氏。帰りがけに朝露に濡れた朝顔を手折らせ、女房に戯れを言っている。

第7帖「紅葉賀」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第7帖「紅葉賀」(土佐派)

舞いを披露する光源氏(菊の挿頭)と頭中将(紅葉の挿頭)。秋の夕日が鮮やかに差し、世にまたとない美しさである。

第9帖「葵」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第9帖「葵」(土佐派)

葵祭の日、行列に随行する光源氏の晴れ姿を見に、正妻の葵の上と愛人の六条御息所がそれぞれ牛車で出かけた。混みあう一条大路で、両者が偶然に出会い、牛車を止める場所をめぐって争う。

第10帖「賢木」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第10帖「賢木」(土佐派)

京を去ることになった六条御息所を訪ねた光源氏。源氏は御息所に榊の枝を渡し、これからもこの常緑の葉のように変わらず愛し続けると告げる。

第11帖「花散里」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第11帖「花散里」(土佐派)

五月雨の晴れ間、光源氏は久しぶりに花散里を訪ねた。昔と変わらない温かいもてなしに源氏は癒やされる。庭には、その香りが昔を思い出させるという橘の花が咲く。

第12帖「須磨」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第12帖「須磨」(土佐派)

光源氏は右大臣派に画策によって朝廷への謀反人とされた。須磨に身を潜めることにした源氏との別れを悲しむ紫の上。紫の上は、正妻の葵の上が亡くなった後に迎えた源氏の妻。源氏は「鏡に映った影はあなたと離れず一緒にいるよ」と紫の上を慰める。

第13帖「明石」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第13帖「明石」(土佐派)

須磨で侘び住まいをする光源氏を、隣国の明石の入道が訪問した。入道に招かれ、8月13日の月夜、源氏は馬に乗って明石へ向かう。

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現在の明石の海岸

第16帖「関屋」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第16帖「関屋」(土佐派)

京に戻った翌年のこと、石山寺参拝に出かけた光源氏は途中の逢坂の関で空蝉の一行に出会う。空蝉は源氏が若い頃に一夜をともにしたことのある女性。空蝉らは源氏の行列に道を譲り、行列を見送った。

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逢坂の関跡

第17帖「絵合」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第17帖「絵合」(土佐派)

絵の好きな冷泉帝は、絵が上手な梅壺女御(秋好中宮)のもとをよく訪れた。弘徽殿女御の一派は、絵師を集め、絵を描かせて対抗する。春の一日、帝の母の藤壺中宮は、双方の女房たちを左右の組に分け、絵の優劣を論争させた。

第18帖「松風」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第18帖「松風」(土佐派)

夜更け、紫の上のもとにいる光源氏に、明石の君から手紙が届いた。明石の君は、源氏が明石で出会った女性。源氏と明石の君との間には姫が生まれていた。源氏は紫の上に手紙を見せる。

第19帖「薄雲」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第19帖「薄雲」(土佐派)

光源氏と明石の君との間に生まれた姫を、紫の上が引き取って養育することになった。明石の君の身分の低さが姫の将来に影響することを源氏が心配したからである。紫の上は小さな姫の愛らしさを見て、明石の君の心の内を思いやる。

第20帖「朝顔」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第20帖「朝顔」(土佐派)

光源氏の従姉である朝顔の君は、源氏の求愛を拒み続けている。源氏が朝顔の君の邸から帰ると、紫の上は不機嫌である。源氏は、雪の積もった庭で女童たちを遊ばせ、そのかわいい様子を二人で眺めながら紫の上の気持ちを慰める。

第21帖「少女」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第21帖「少女」(土佐派)

光源氏の息子の夕霧と、内大臣(かつての頭中将)の娘の雲居雁は幼なじみ。二人はお互いに恋心を抱いていたが、内大臣は猛反対。内大臣は雲居雁を自邸に閉じ込めてしまった。

第22帖「玉蔓」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第22帖「玉蔓」(土佐派)

光源氏は六条院の大邸宅に女君たちと住んでいる。源氏35歳の年末、女君たちが着る正月の晴着を紫の上とともに選ぶ。

第23帖「初音」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第23帖「初音」(土佐派)

六条院の正月。光源氏は女君たちに年賀の挨拶回りをした。明石の君の部屋を訪れた源氏。明石の君は、源氏から贈られた白い小袿に、黒髪が映えて美しい。

第24帖「胡蝶」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第24帖「胡蝶」(土佐派)

六条院で春の宴が催された。光源氏は、出産のため六条院に宿下がりしている秋好中宮のもとに舟を出し、中宮の女房たちを宴に招いた。

第25帖「蛍」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第25帖「蛍」(土佐派)

六条院での賭弓の会。光源氏は、玉鬘を養女として六条院に引き取っていた。美しい玉鬘を目当てに、多くの男君が会に参加した。

第26帖「常夏」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第26帖「常夏」(土佐派)

暑い夏の日、内大臣(かつての頭中将)が娘の雲居雁の部屋を訪れると、雲居雁は薄物の単衣だけの姿で昼寝をしていた。内大臣は扇を鳴らして雲居雁を起こし、戒めた。

第28帖「野分」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第28帖「野分」(土佐派)

台風の翌朝、光源氏は息子の夕霧に、秋好中宮の邸に様子を見に行かせた。中宮は、女童たちを庭におろして、風に吹き荒らされた撫子を手折らせたり、虫籠に露を移させたり、台風の後でも風雅な様子であった。

第29帖「行幸」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第29帖「行幸」(土佐派)

冷泉帝が大原野に行幸し、鷹狩りをおこなった。光源氏は酒や菓子を帝に献上し、帝は木の枝につけた雉を源氏に下賜した。

第30帖「藤袴」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第30帖「藤袴」(土佐派)

玉鬘の本当の父は、内大臣(かつての頭中将)と明かされた。姉弟でないとわかった夕霧は、玉鬘の部屋を訪れ、藤袴の花を御簾から差し入れて想いを告白する。

第31帖「真木柱」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第31帖「真木柱」(土佐派)

光源氏が慈しんだ玉鬘は髭黒大将と結婚することになった。源氏は玉鬘の部屋を訪れ、泣く。

第32帖「梅枝」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第32帖「梅枝」(土佐派)

六条院で「薫物合わせ」が行われ、朝顔の君、紫の上、花散里、明石の君、光源氏が調合した薫物の優劣が争われた。源氏の弟の蛍兵部卿宮が判定者となったが、優劣つけがたいという結果に終わった。源氏は蛍宮に薫物と直衣を贈る。

第33帖「藤裏葉」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第33帖「藤裏葉」(土佐派)

なかなか許してもらえなかった夕霧と雲居雁との結婚がようやく認められた。二人の新居を、太政大臣となった雲居雁の父(かつての頭中将)が訪れる。

第34帖「若菜(上)」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第34帖「若菜(上)」(土佐派)

40歳になった光源氏は女三の宮を正妻として迎えた。3月末、六条院で蹴鞠を楽しむ若者たち。その中の一人、柏木は、御簾から猫が飛び出した瞬間、まくれ上がった御簾の向こうに、女三の宮の姿を見る。

第36帖「柏木」(源氏物語図色紙28面のうち)(17th century (Edo period)) - 作者: 土佐派出典: Sakai City Museum

第36帖「柏木」(土佐派)

女三の宮への思いを募らせ、女三の宮と関係をもってしまった柏木。光源氏に感づかれ、柏木は心労から病床に伏した。柏木の父の太政大臣(かつての頭中将)は、修験者を呼んで柏木の快復を願って祈祷を頼む。

提供: ストーリー

堺市博物館
https://www.city.sakai.lg.jp/yoyakuanai/bunrui/bunka/hakubutukan/hakubutsukan.html

提供: 全展示アイテム
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