原爆と植物
原爆は、人間のみならず植物にも大きな傷跡を残した。
植物の被害は原爆被害の特徴を端的に伝えている。
爆心地附近の木 ‐ 熱線により焦げているものの、直立している。真上からきた爆風によって枝の部分から裂けている。
爆心地から南南西に約0.8km 爆風によりなぎ倒された樹木 爆風が吹き抜けた方向がわかる
爆心地から西に約1.1km 爆心地と逆方向になぎ倒された竹やぶ
まさき ‐ 放射線の影響で斑入りとなり、葉がちぢれたと思われる。茎から葉に至る白い線状の斑が特徴的。
大木のおかげで原爆の爆風から守られた人、原爆の爆風により倒れた木によって圧死した人、被爆した人々が夏の暑さから少しでも逃げるために大木に集まった人々…
多くの人々の記憶の中に樹木が残されています。
被爆者が描いた絵
”木のふもとに集まって来た被爆者たち”
被爆者が描いた絵
”「長崎の墓地」の爆風により崩れた有様”
被爆者が描いた絵
”当時父が医大病理学教室に勤務していたので捜索に母と行きましたが、父は見付かりませんでした。現在も脳裏からあの光景は、焼付いています。”
希望を与えた樹木
爆心地から南南東へ約0.8km
山王神社の大クスは、推定400~500年と言われている。
原爆により枝葉を全部吹き飛ばされて、黒焦げとなった幹が大きく裂けた。
枯死したかに見えたこの木に、数か月後に新芽が出始めた。
原爆によって大きく傷ついたこの木が力強く再生していく様子に、長崎市民は大きな力を得た。
被爆から約2か月の山王神社の大クス 新芽が出始めている
被爆樹木のいま
長崎市には現在被爆樹木が30本ほど生き続けている。
これらの樹木は、今も残っている傷痕から、核兵器のもたらす悲惨な結果を示すとともに、枯死寸前の状況から回復し、生命力の力強さを感じさせてくれるものとなっている。
爆心地から北北西に約1kmの位置にある民家の庭に残る被爆樹木 ‐ 幹の内部に焦げた跡を見ることができる。
現在の山王神社の大クス ‐ 被爆による傷を抱えながら力強く再生している様子を見ることができる。
Curator—Shotaro Okuno