焼貫黒樂茶碗　鮫人

銘の出典は、『鮫人歌』李頎。手捏ねという樂茶碗の基本的な造形要素を強く打ち出す手法を用いている。全体に薄造りの沓形茶碗で、口辺は波状に起伏をつけている。総体に黄土を化粧掛けし、体部の腰回りには、口辺と同じように細い銅釉を一筋廻り掛けている。口縁から削り出し高台にかけて黒釉が幾筋も掛けてある。それは、まるで鋭利な鮫の牙のようである。小さめの削り出し高台内部に当代の樂印を捺している。「夜の航海」シリーズの1点。