後漢の才女であった文姫(またの名を蔡琰)は、内乱に乗じて進軍してきた中国北方の異民族である匈奴に拉致されました。その後、劉豹という南匈奴の左賢王(皇帝の次の位)の側室となり、二人の子供をもうけます。12年後、文姫の父と親しかった曹操のはからいで、故郷へ買い戻されることになりましたが、愛する子供たちを連れて帰ることは許されず、またも悲しい別れを経験します。この屏風は、子供たちとの別れの場面を描いたもので、周辺に集う人々の表情からは、歳月が培った深い絆を感じさせます。明治中期から昭和期の激動の時代を生きた尾竹國観は8歳から絵を描き、染物屋を営んでいた父を助け、家計を援助していました。絵画のほか、漢学にも長けていたため、本作のような歴史を取り扱った作品も多く残しています。
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