明けやすき頃

西村五雲(1877-1938)は岸竹堂、竹内栖鳳に学び、動物画の名手として活躍しました。夏至の時期は夜が短く、まさに「明けやすき頃」です。朝日が差し込む気配を感じ、畑をすばやく駆け抜けていくイタチが、軽快な筆さばきで描かれています。つややかに実った茄子は、丸みを帯びた形が特徴的な京の伝統野菜「賀茂茄子」を思わせます。京都に生まれ育った五雲が見慣れていたに違いない、初夏の爽やかな風景が見事に切り取られています。