戦後まもなく、パリを拠点に活躍した日本の現代美術家。1919年神戸生まれ、商業デザインの仕事に従事しながら、絵画を学ぶ。1952年パリへ渡り、アンフォルメル風の重厚なマチエールで、力強い象形文字のような絵画を手掛ける。その後、明るい色調の記号化された色面構成による絵画を制作するようになり、70年代になると、円と直線による幾何学的なイメージの傾向が強くなっていく。80年代から晩年においては、菅井のイニシャルであり、道路の連続カーブを想起させる「S」をモチーフにしたシリーズを制作した。一つの様式に留まることなく、生涯を通じて、新しい絵画を求め続けた画家である。
「フェスティヴァル」シリーズでは、色の数や形態がさらに限定され、鮮やかな色彩の円と四角とストライプにより画面が構成されている。道路標識を思わせる明快で大胆な画面構成からは、菅井を魅了し続けたスポーツカーのスピードとそれによる緊張感が思い起こされる。