全部で12枚の紙に描かれた鶏です。右から1枚目と2枚目には堂々と立つ雄鶏が1羽描かれ、それ以外の図には番で描かれています。雄鶏と雌鶏の描き方には共通する特徴があり、雄鶏は大きく、雌鶏は小さく隠れるように描かれています。雄鶏の羽は墨のにじみやかすれを利用して多彩な模様を表現しようとしていますが、雌鶏はそれに比べると驚くほど簡単に描かれています。一番左の図には、お米一斗(いっと)と絵一枚を交換したという若冲の逸話にちなんだ「米斗翁(べいとおう)」という号と「八十二歳画」という年齢が書かれています。82歳という年齢を感じさせない、躍動感あふれる作品です。