徳翁良高(1649~1709)は江戸中期の曹洞禅僧。黄檗宗の諸師のもとに参禅したのち、月舟宗胡の法を嗣ぐ。卍山道白の後を嗣いで加賀大乗寺に住したが、黄檗宗の清規を行ったために世代を削られるという憂き目にあった。湛元自澄の『日域洞上諸祖伝』を継いで『続日域洞上諸祖伝』を著した。また備中西来寺を再興し、同国円通寺を開いた。
本墨蹟は、宝永元(1704)年に徳翁が越後慈雲庵の虚白に請われて結夏(夏安居=夏の坐禅修行専念期間)に赴いた時に、学人たちに示した説法である(『西来徳翁高和尚年譜』『徳翁高禅師語録』)。