日本の現代美術家。1960年パリに生まれる。多摩美術大学絵画学科卒業後、クーパー・ユニオン芸術学部(ニューヨーク)卒業。1990年佐賀町エキジビット・スペース(東京)の初個展以来、1994年「第7回釜山ビエンナーレ」(韓国)、1995年「VOCA展’95」(上野の森美術館・東京)、1998年「ART TODAY 1998」(セゾン美術館・長野)2004年「第11回バングラデシュ・アジア・ビエンナーレ」(バングラデシュ)、2009年「NO MAN’S LAND」(在日フランス大使館、東京)、2013年「プレイバック・アーティスト・トーク」(東京国立近代美術館)等、国内外の多数の展覧会に参加する。一貫して、画面全体を大きなストロークが走る、ダイナミックな抽象絵画を描いている。近年の広がりある鮮やかな色彩の背景の上に、有機的で力強い曲線を描いた画面では、ドラマティックで物語性のある絵画空間を生み出している。
本作は、1998年の「ART TODAY 1998 ミメーシスーわたしの<かたち>」展(セゾン現代美術館・長野)に出品された作品である。質の異なる複数のレイアーが重なることによって、奥行きが前後するような絵画空間が作られている。幅広いストーロークからは、水平、垂直に加え、時間性も意識させられる。また、平面的な形象に付けられたグラデーションからは、浮世絵のそれが想起される。