本資料は平安時代に浄土教を説き『往生要集』等を著した恵心僧都(源信、942~1017)の筆という伝えを持つ達磨図。
本達磨図は顔面を大きく描き、日本的な達磨図とは趣が異なる。16世紀の西洋文化の流入期に描かれるようになった西洋系絵画に似た画法であり、そのころの作と思われる。
賛は達磨が向いている左側から読む。「廓然無聖」は達磨と梁の武帝との逸話に基づいたもので、「満面風塵…」以降は、塵まみれの世の中にあって禅の教えは未だ自分さえも救えず、まだ半分程度に過ぎない(しかし必ず実を結ぶ)ことをたとえている。達磨の伝法偈に通じた内容と思われる。