覚巌実明(1793~1857)は江戸後期の曹洞禅僧。京都出身。不二山人、般若林、一雨、夜明、無用などと号す。9歳で出家。その後近江清凉寺の漢三道一らに参学する。播磨西教寺、同国正受庵、大坂妙寿寺、信濃長国寺など各地を歴住。天保10(1839)年、播磨国海福寺内に一庵を結び般若林を開いた。文筆にすぐれ達磨の絵を多く書いたことで知られ、とくに本図のような半身達磨を得意とした。
賛「松風蘿月」は松に渡る風、蔦葛の葉の間に見える月影。幽寂を象徴した句。「心印」は師と弟子の心が契合し一体となること。仏祖から綿々と伝えられた悟りの核心を指す。