日本の造花の歴史は古く8世紀に編纂されたと考えられている『万葉集』にはすでに造花を詠んでいると思われる和歌があります。有職造花とは平安時代に宮中の季節の行事のために糸や布を使って作られた造花のことです。その伝統を受け継いだ最後の「雲上流」有職造花師が京都にいます。元々は端午の節句に邪気や疫病を払うために作られました。薬草や香料などが入っている玉の周りを造花が飾ります。雲上流の薬玉には「真、行、草」の3種類があります。一年十二ヵ月を代表する六色二組の絹紐を薬玉の下に垂らしています。
「真」の薬玉は主に天皇家で使われていたとされています。使われる花の種類、色などすべて決まっています。赤と白のさつきが三つの薬玉を囲んでいます。