了庵清欲(1288~1363)は元代末期の臨済禅僧。南堂と号す。台州(浙江省)の出身で古林清茂の法嗣。溧州開福寺(江蘇省)、嘉興本覚寺(浙江省)、蘇州霊巌寺(江蘇省)などに住す。日本に渡航したことはないが会下に参じた日本人僧が多く、墨蹟も日本に多くもたらされた。
印可状とは師が修行者の悟りの境地を点検し、それが円熟した(印可)と判断された際に出される認証状。この印可状は了庵清欲が海印居士に与えたとされるもの。了庵清欲の署名から、霊巌寺に住持した年の元・至正丙戌年(2年、1346年)に出されたものであることがわかる。印可を与えられた海印居士については不明。俗弟子であると思われる。冒頭に「重与」とあるので、以前にも印可状を与えられたことがあるのだろう。