フェルメールの作品に頻繁に描かれる手紙という主題ですが、謎の手紙を受け取った瞬間の 2 人の女性の様子を捉えた本作品には強い緊張感が表れています。召使の頭部や姿がしっかりと仕上げられていないこと、そして何もないとも言える背景は、フェルメールが後期に描いたこの作品が未完成であることを示しています。しかしながら、この芸術家による絵画において、この絵のように真珠のアクセサリーの輝きや机の上のグラスと銀の食器が放つ反射光、そして暗い背景の中で人物を柔らかく照らす光の微妙な変化がこれ以上のものに描かれた作品はめったにありません。本作品は 1919 年にフリックが購入しました。同年にこの世を去った彼にとって、この絵は最後に購入した作品となりました。こうして本作品は、レンブラントの『自画像』、ホルバインの『トマス モア』、ベッリーニの『聖フランチェスコ』、ベラスケスの『フィリップ 4 世』などのフリック コレクションに加わったのです。