日本の現代美術家。1961年東京都に生まれる。1983年武蔵野美術大学卒業。1989年ヒルサイド・ギャラリー(東京)や1993年南天子画廊(東京)等で個展を重ねる。グループ展では、上野の森美術館(東京)、埼玉県立近代美術館、セゾン美術館(東京)、カムニク国際水彩画ビエンナーレ(スロベニア)の展覧会に出品。近年では、2018年にBlum & Poe Tokyoでの個展が好評を博し、海外からも今後の展開について注目されている。石川の絵画は、日常で見つけた雑誌や広告などの印刷物から見つけたかたちをトレースすることから始まる。選び取られた事物のかたちは、大きく投影され、本来の事物の役割から離れて、全く別の意味を持つ絵画の構成要素として描かれている。
石川の絵画制作のプロセスにおいて、「図」を描く前に作られる「地」は、それだけで絵画空間として自立しており、陰影や奥行きを持ち、あらゆる方向への動きも有している。その上に「図」として描かれたかたちや線は、マスキングや絵具に砂を混ぜる技法によって、マチエールや発色等が注意深くコントロールされ描き分けられている。このように描かれた本作の画面は、画面上部と下部、表面と奥行きがそれぞれに拮抗する緊張感を有している。