真巌道空頂相

　真巌道空(一三七四～一四四九)は室町時代の曹洞宗の禅僧。如(じょ)仲天誾(ちゅうてんぎん)の法を嗣ぎ、法嗣に川僧慧済(せんそうえさい)らがいる。師如仲が開創した近江の洞寿院を嗣ぎ二世となる。真巌ははじめ密教を学び、洞寿院とは谷を隔てた地に住んでいたが、如仲の高名を聞き訪ね、その教えに感銘し弟子となった。のちに真巌派四〇〇ヶ寺といわれる一派の基礎を築いた。
　本資料は洞寿院二世真巌道空のすがたを描いたもの。頂相とは禅僧の肖像画を指す。真巌の頂相は、はじめ示寂の四年後の享徳二(一四五三)年に描かれ、洞寿院三世川僧慧済が賛を記したものが作られていた。しかしこの頂相は戦乱で焼失してしまい、後年、洞寿院八世台英是星によって本頂相が作成された。頂相の上部には、台英是星による川僧慧済の賛の写しと、再作成の経緯を詳細に記した識語がある。