20世紀アメリカを代表する美術家。1890年フィラデルフィア生まれる。本名は、エマニュエル・ラドニツキー。1913年ニューヨークで催された展覧会「アーモリーショー」を観て、ヨーロッパの前衛美術に目が覚める。1915年パリから渡米してきたマルセル・デュシャンと出会い、1917年頃から「ニューヨーク・ダダ」の運動を開始。1921年パリに渡り、シュルレアリストらと交流をしながら、写真、映画、絵画、オブジェ制作など、多方面で活躍する。既製の芸術概念から逸脱を計りながら、ユーモアに富んだオブジェ作品は、生涯を通じて数多く制作された。
マン・レイをはじめとするシュルレアリストたちの作品には、「コラージュ」や「自動記述」、「言葉遊び」といった特徴が見られる。本作は、底板が青、白、緑に塗られた箱の中に、横長の綿のかたまりが3つ、桃の模型が3つ並べられ、あたかも風景画のような構造で配置されている。タイトルの《ペシャージュ(Péchage )》とは、フランス語の「Peche(桃)」、「Paysage(風景)」、「Nuage(雲)」の3語をつなぎ合わせた造語である。