積雪の森

クールベはフランス東部ブザンソン市に近いオルナン村に生まれた。フォンテヌブローをしばしば訪れ、コローらバルビゾンの画家たちと交遊したことからバルビゾン派の画家とも言われている。1850年のサロンに出品した《オルナンの埋葬》が当時のアカデミズムに反するものとして物議をかもし、1855年のパリ万国博覧会に出品した《画家のアトリエ》等の出品が拒否されると、自らリアリズムの看板を掲げて個展を開き、当時の画壇の主流であった古典主義やロマン主義による空想化や理想化した画風に異を唱え、目の前にあるものしか描かないという写実主義の立場を表明、写実主義運動の指導的役割を担った。彼の考え方は次のような彼の言葉によく表れている。「女神を描くことをお望みなら、まず女神を見せてもらいたい。風景を描く場合には、その風景をよく知る必要がある。私が自分の故郷を描くのは、そこをよく知っているからだ。私の絵の中には現実そのままのルー川やリゾン川があり、オルナンやピュイ・ノワールの岩がある。訪ねて見てください。」晩年はこの絵のようにハイカーの目にしかとまらない森の奥など、人家の少ない風景画を多く描くようになった。