強い風に吹かれても折れない竹に、荒波に打たれても砕けない岩。どちらも大観と春草が、伝統を重んじる旧勢力の巨大な力に抵抗したことを象徴するような画題です。古来、墨の線を使って輪郭を明確に描くことが日本画の基本とされてきました。従って、「波濤図」に見られるような、色だけで波を表現する画法は、多くの人々にとって許しがたい暴挙であり、「幽霊画」「朦朧画」と揶揄されました。しかし、二人は全く怯みませんでした。激しい性格をしていたと言われる大観が静かな竹林を、穏やかな性格の春草が荒ぶる波といかめしい岩を描いているという点でも興味深い作品です。