日本の現代美術家。1935年東京に生まれる。1959年東京芸術大学油画科卒業。1962年「第14回読売アンデパンダン展」(東京都美術館)に出品したワッペン型が反復されるレリーフの作品が注目を集める。1965年「日本の新しい絵画と彫刻」展(MOMA)に出品。その後、ニューヨークに渡り、ペンシルヴァ二ア大学大学院でエコロジカル・プランニングを学ぶ。1974年に帰国後は、環境アセスメントの研究に取り組む。1998年から2001年は、パリにて制作活動を行う。近年は、国内において継続的に河川をテーマとした大掛かりなプロジェクトに取り組んでおり、現在も環境芸術のパイオニアとして精力的に活動を続けている。
幾つものレリーフ状のワッペン型が並べられた「ワッペンシリーズ」は、磯辺の60年代の代表作として知られている。《東京オリンピック讃歌》と名付けられた本作は、ワッペンの所々に国旗のようなイメージが小さく描かれている。反復されたワッペンは、日常的なイメージを繰り返すポップアートを思わせるかもしれない。しかし、磯辺の「ワッペンシリーズ」は、60年代のポップアート隆盛の時代に制作されていながら、当時の世俗的趣味を一切感じさせることはない。