鳥取の木工芸

鳥取の木工芸《リンゴの小物入れ》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

工房このか

藤本 かおり

鳥取の木工芸《工房このか》(2020-03-01) - 作者: 藤本かおり鳥取県

鳥取の木工芸《工房このか》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

はじまり

「それぞれの性格を持つ木と、対話や相談をしながら制作できる」そういった木工の魅力に魅せられた藤本かおりさん。鳥取県若桜町で活躍する山根粛(やまねただし)さんの木工作品に惚れ込み、生まれ育った地である鳥取で木地師(きじし)として活動することを決めました。木地師とはかつて木材が豊富に採れる場所を転々とし木製の器を作っていた職人のことです。藤本さんが多くの種類の木を使って作品を作るのは、それぞれの持つ良さを使う人に知ってほしいからです。

鳥取の木工芸《様々な木材》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

材料

作品を手にとる時、木が生きてきた物語が分かると愛着を持ってもらえます。長い間場所を変えず生きてきた樹木が持つおおらかさや包容力。物質ではなく生き物としての木だからこその魅力がそこにはあるのです。

鳥取の木工芸《治具の製作》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

作業工程

作るものに合わせて治具(じぐ)を自作します。

鳥取の木工芸《木を治具に固定》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

治具に材料を打ち付け固定します。

鳥取の木工芸《木を削る》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

面を取った材料を木工ロクロで荒削りをします。木地の外側を削っていきます。収縮したり歪んだりすることを考慮して仕上がり寸法よりも大きく削ります。

鳥取の木工芸《内側を削る》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

次に内側を削ります。

鳥取の木工芸《磨き》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

形が完成したら磨きをかけます。

鳥取の木工芸《育美椀》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

想い

小学生のお子さんを持つ母であるからこそ、作り出せる作品があります。それが《育美椀》。地域性を生かすことが条件の「LEXUS匠プロジェクト」で制作したものです。普遍的な美しさや力強さ、古代からの力をお椀に乗せてお子さんの成長を見守るという意味が込められていて、お守りのような存在になることを祈って作られています。

鳥取の木工芸《「ほし」育美椀》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

黒漆のお椀は星取県として知られる鳥取県にちなんで、星の模様があしらわれた《ほし》。

鳥取の木工芸《「やよい」育美椀》(2020) - 作者: 藤本かおり鳥取県

赤漆のお椀は弥生時代に栄えた青谷上寺地遺跡から出土した「花弁高槻」をモチーフに《やよい》と名付けられています。

鳥取の木工芸《木地師》(2020) - 作者: 写真:前﨑信也鳥取県

これから

大きく育つまで何十年、何百年もかかる木には人を圧倒する美しさや尊さがあります。現在、木地師は減少してきていると共に、樹木の種類も減っています。そんな中でも作品を作り続けているのは木の持つ美しさと個性を伝えたいからです。今も木が採れるのは、過去に樹木を植えてくれた人がいるからこそ。未来につなぐためにも、消費するだけではなく樹木を育て、木地師だからこそできることは何かを常に考えながら活動しています。

鳥取の木工芸《ドモク堂の食器》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

ドモク堂

朝倉 康登

鳥取の木工芸《ドモク堂》(2020-03-01) - 作者: 朝倉康登鳥取県

鳥取の木工《工房》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

ドモク堂は鳥取県湯梨浜町に工房を構える木工作家と栃木県益子町の陶芸家による親子のクラフトユニットです。

鳥取の木工芸《ドモク堂のはじまり》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

木工作家である朝倉康登さんはひとつのスプーンを作ったことから木工に魅了されました。もともと木を扱うのが好きで小さいころの夢は大工でした。陶芸家である義父母の勧めもあり、最初は趣味で木工を始めます。ホームセンターで道具を買い、製作場所は近所の公園や自宅のキッチンでした。義父母に誘われて出展した企画展で自分の作ったスプーンが売れたことをきっかけに、本格的に始めることを決めます。

鳥取の木工芸《お皿とフォーク》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

フォークのつくり方

鳥取の工芸《形成》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

乾燥させた桜の原木に大まかな形を書き、糸鋸を使って切り出します。

鳥取の木工芸《切断》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

フォークの隙間など細かい箇所は手動の糸鋸を使います。

鳥取の木工芸《彫る》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

およその形が仕上がると小刀を使って角を削っていきます。角が取れると彫りあとを残しながら形を整えます。

鳥取の木工芸《仕上げ》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

クルミ油をしみこませた布で磨いて完成です。

鳥取の木工芸《作品の特徴》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

時間はかかりますが、ひとつひとつ手作業にこだわりフラットな曲面ではなくあえて彫りあとを残すことで自分らしさを表現しています。

鳥取の木工芸《木材》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

材料

食に関するものを多く作るため、口に入れても安心できる自然素材にこだわっています。海外から輸入した木材では薬品が使われていることがあるため、材料となる木材の選別・管理も行っています。

鳥取の木工芸《ドモク堂の作品》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

鳥取県で多く採れる山桜の木は、道管が詰まっているため固く割れにくいという性質があり、食器類を作るのに適しています。使っていくうちに木材の色が変化していくことも木工製品の魅力のひとつであるといえます。

鳥取の木工芸《朝倉康登》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

想い

朝倉さんの作品のほとんどはカトラリーや器、バターケースなど、食卓に寄り添う道具です。そこには、「食べる」という生きるうえでとても大切な行為を楽しみながら行ってほしいという思いが込められているのです。

鳥取の木工芸《ドモク堂》(2020) - 作者: 朝倉康登鳥取県

これからも自然にやさしく、食卓まわりの作品を作っていきたいと語る朝倉さん。食器だけではなく、ダイニングテーブルやいすなどの家具を製作することにも挑戦しています。

鳥取の木工芸《白谷工房ロゴ》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

白谷工房

中村 建治

鳥取の木工芸《白谷工房》(2020-03-01) - 作者: 中村建治鳥取県

鳥取の木工芸《白谷工房の作品》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

木々から感じる安らぎ、ぬくもり、懐かしさ、やさしさ、力強さ。木の表情を活かした作品を生み出す白谷工房(しろいたにこうぼう)。寄木細工という技法を駆使し、アクセサリーや文房具を中心に、家具なども製作しています。

鳥取の木工芸《木材》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

はじまり

20年間大工をしていた代表の中村建治さんは、産業廃棄物として処理される、古い民家を解体した木や建築現場で出た端材に注目します。長い年月をかけて成長した木が捨てられるのを、少しでも減らしたい、違う形で残したいという想いから白谷工房は生まれました。

鳥取の木工芸《工房》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

閉鎖した保育園

工房は鳥取県日野郡日南町に構えています。もともと中村さんの実家で活動していましたが、日南町の提案により2016年から閉鎖した保育園を工房として使用しています。

鳥取の木工芸《廃材をカットする》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

寄木細工のアクセサリーができるまで

まず、木材を板状に加工します。次に、特殊な方法で小さなパーツにカットしていきます。この工程が寄木細工を作る上で一番の難関です。白谷工房では、小さいもので2.7mmのパーツにカットしています。

鳥取の木工芸《接着》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

接着

小さなパーツを接着剤で丁寧に貼り合わせた後、輪ゴムで固定し15分程乾かします。

鳥取の木工芸《やすりがけ》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

やすりをかける

やすりで角をおとし、形を整えます。

鳥取の木工芸《仕上げ》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

仕上げ

蜜蝋と植物性のオイルを混ぜたものを表面に塗り完成。 これは、艶出しと木目をはっきりさせるための作業です。

鳥取の木工芸《端材》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

こだわり

白谷工房では、虫食い痕も朽ちたところも自然が作り出した表情と捉え、材料の選別は一切行っていません。

また、木を小さく切ることで、無駄なく作品に生まれ変わります。

鳥取の木工芸《白谷工房 ヘアゴム》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

代表的な作品

白谷工房の作品は、2015年にTVドラマでの主人公のヘアゴムとして使用され、話題となりました。

鳥取の木工芸《白谷工房 積み木》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

想いと展開

白谷工房では、地域の働き口として子育てにやさしい職場づくりを心がけています。日南町の魅力を発信したい、という想いから地域ブランド「にちなん日和」を立ち上げました。豊かな自然を活かし、様々な食材や加工品の販売、木育活動を行っています。「木育」とは木との関わりから豊かな心を育てる教育の一環で、白谷工房では積み木などの木のおもちゃを製作しています。

鳥取の木工芸《白谷工房 中村建治》(2020) - 作者: 中村建治鳥取県

大切にしている言葉

代表・中村建治さんは、大工である父親の影響で小学生の時から大工を志します。18歳から6年間岡山県で修業を積み、24歳で独立。木を無駄にしたくない想いがあり、35歳、テレビで知った寄木細工を独学ではじめました。「実るほど頭が下がる稲穂かな」これは中村さんの大切にしている言葉で、謙虚な姿と、穏やかで優しい人柄が作品にもにじみ出ています。

提供: ストーリー

【資料提供・協力】
工房このか
ドモク堂
白谷工房

【監修】
鳥取県

【映像】
・高山謙吾

【翻訳】
・エディ― ・チャン

【テキスト・サイト編集】
・稲角理子(京都女子大学 生活生活造形学科
・岩尾優貴愛(京都女子大学 生活生活造形学科
・岩崎かなえ(京都女子大学 生活生活造形学科
・太田千晴(京都女子大学 生活生活造形学科
・南部桃香(京都女子大学 生活生活造形学科

【プロジェクト・ディレクター】
・前﨑信也(京都女子大学准教授

【提供】
鳥取県

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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