京都伝統産業ミュージアム
京都伝統産業ふれあい館
京瓦
京都の風景写真に必ずと言っていいほど写っている京瓦。16世紀に方広寺の大仏殿を建造する際に全国から優秀な瓦職人が東山に集まって以来、現代まで続いてきました。京都で生産され「磨き(みがき)」と「燻し(いぶし)」という工程を経た重厚な輝きをもつ瓦を京瓦とよびます。
京瓦《橘文軒丸瓦》浅田製瓦工場所蔵(1603/1868) - 作者: 浅田製瓦工場京都伝統産業ミュージアム
日本最古の瓦は飛鳥寺が創設された6世紀から7世紀頃のものと考えられています。
屋根の上にかぶせて風雨を防ぐためのものとして発展してきました。
当時、瓦は大変な貴重品。都を移るときには瓦も一緒に運ばれ、選別され、新たな建造物に葺き替えられたのです。約1000年はもつと言われていますが、見た目が悪くなるので150年に一度のペースで交換するのが主流です。
民家の屋根に設えられるようになったのは300年ほど前の江戸時代後期。8代将軍徳川吉宗の奨励により、火災で木や藁葺きの民家を延焼から守る「防火対策」として普及しました。
京瓦《鍾馗》(浅田製瓦工場)京都伝統産業ミュージアム
屋根の上には、厄除けである鍾馗(しょうき)さんが設置されています。鍾馗さんとは、京都では身近な小さな守り神様です。もちろん京瓦で作られています。
屋根の上には、厄除けである鍾馗(しょうき)さんが設置されています。鍾馗さんとは、京都では身近な小さな守り神様です。もちろん京瓦で作られています。
京瓦《鍾馗》撮影:岡埜有紗京都伝統産業ミュージアム
屋根の上には、厄除けである鍾馗(しょうき)さんが設置されています。鍾馗さんとは、京都では身近な小さな守り神様です。もちろん京瓦で作られています。
艶を出す
京瓦特有の「磨き」の作業。様々なへらを駆使して職人はただひたすらに磨き続けます。工房にはへらと粘土が擦れる音だけが響きます。こうすることで焼き上げた後、表面につやがうまれ、鈍く重厚な輝きを放つ瓦となるのです。
Google Arts & Culture 「Made in Japan:日本の匠」京瓦京都伝統産業ミュージアム
いぶし銀
焼き締め後、窯内での不完全燃焼により炭素を表面に付着させます。黒ともねずみ色ともいえない上品な京瓦特有のいぶし銀と呼ばれる独特の色彩が生まれ完成となります。
京瓦《鬼瓦》京都伝統産業ふれあい館所蔵(2016) - 作者: 浅田製瓦工場京都伝統産業ミュージアム
オーダーメイド
一口に屋根に載せるといっても、寺社仏閣や建物の大きさによってそれぞれ基本となる瓦のサイズが異なります。手作りだからこそできる微妙な成形が、隙間なく屋根を覆い雨や経年劣化から長い期間建造物を守ります。
京瓦《軒先瓦の木型》(浅田製瓦工場)京都伝統産業ミュージアム
このように様々なデザインの型が存在します。
このように様々なデザインの型が存在します。
京瓦《シルクスクリーン》(2015) - 作者: 浅田製瓦工場京都伝統産業ミュージアム
伝統的な技術と新しい発想を用いて、現代の生活に溶け込む作品作りに取り組んでいます。
「磨き」の技術を使って、瓦にシルクスクリーンで装飾する手法。文字や模様はもちろん、写真に至るまで瓦の上に再現できます。
京瓦《干支瓦》(2015) - 作者: 浅田製瓦工場京都伝統産業ミュージアム
十二支の置物
十二支の置物
「瓦は 1000年たっても使えます。自らがつくった瓦が 1000年後も残っているかを確かめることは不可能ですが、少しでも長い時間使えるようにひとつひとつ丁寧に作ります。」その精神は今も昔も変わらず瓦職人の中にあるのです。
【資料提供・協力】
・浅田製瓦工場
【提供】
・公益財団法人 京都伝統産業交流センター 京都伝統産業ふれあい館
【テキスト】
・公益財団法人 京都伝統産業交流センター 京都伝統産業ふれあい館
・池田優花(京都女子大学生活造形学科)
・岡埜有紗(京都女子大学生活造形学科)
・中谷渚(京都女子大学生活造形学科)
【写真】
・前崎信也(京都女子大学 准教授)
・岡埜有紗(京都女子大学生活造形学科)
【映像】
・高山謙吾( A-PROJECTS)
【翻訳】
・エディー・チャン
【サイト編集・制作】
・池田優花(京都女子大学生活造形学科)
・岡埜有紗(京都女子大学生活造形学科)
・中谷渚(京都女子大学生活造形学科)
・笠井貴江(京都女子大学現代社会学科)
【監修】
・前崎信也(京都女子大学 准教授)