中断された音楽の稽古(ca. 1658-59) - 作者: ヨハネス・フェルメールThe Frick Collection
音楽を奏でる様子はフェルメールの室内絵画作品に繰り返し現れる題材であり、17 世紀には求愛と関連付けられていました。
当時、上流階級の人々は音楽のレッスンを受けていたため、音楽を習うということはこの若い女性が高い身分であることを示しています。
2 人の時間が突然邪魔されたかのように、椅子に座った女性が手にした楽譜からこちらに眼差しを向けています。
恋愛というテーマが、部屋の奥にほの暗く見える左手を上げたキューピッドの絵画によってさらに強調されています。
この絵が正確に意味するところについてはさまざまに議論されていますが、オットー ファン フェーン(1556~1629 年)による『愛のエンブレム集』などの寓意画に由来しているのではないかと言われてます。こうした寓意画集は当時とても人気があり、画家たちはインスピレーションを得るためによく図柄を参考にしていたのです。
男性と女性の関係は不明です。彼は音楽教師でしょうか、あるいは彼女に求愛しているのでしょうか。
帽子を被ってないこと、そしてワインのグラスが描かれていることから 2 人の親密性が示されています。
複雑なデザインを持つパネルが格子状に組み合わされた特徴的な窓からは、穏やかな光が差し込んでいます。同じような作りの細かい窓は、フェルメールの他の作品にも描かれています。
衣装の専門家によると、女性が被っているリンネル製のフードは装飾品としての意味もありますが、服を着る際や脱ぐ際に髪型を保護するために着用するものでもあったと指摘されています。
テーブルの上には、シターン(弦楽器)、声楽の楽譜、青と白の陶磁器のピッチャー、そして赤ワインのグラスが置かれています。
この絵画は、ヘンリー クレイ フリックが購入したフェルメールの 3 点の絵のうちの一番古いのものです。フリックは、ピッツバーグに住んでいた 1901 年にこの絵を購入しました。
現存する作品の中で確実にフェルメール作だとされているのは 35、36 点と少ないため、このオランダの巨匠が描いた 3 点の絵画の貯蔵は素晴らしい功績と言えるでしょう。
この展示は、Google フェルメール プロジェクトの一環です。