1:環境
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
美しい島の自然の中に美術館とアート作品が点在するアートの聖地、直島。地元の金属産業の影響で一時は荒廃していた自然も甦り、多くの人が訪れる。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
1992年に完成した美術館に引き続き安藤が手掛けた「地中美術館」は、環境と一体化した建築というコンセプトをさらに推し進め、建物全体が完全に地中に埋め込まれている。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
かつて塩田だった丘の上に建てられた、その姿は外からはほとんど認めることができない。上空から見下ろすことで初めて、遺跡のような大地に埋め込まれた幾何学形態の構造物の存在を認識することができる。
2:光
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
薄暗い地下通路に差し込まれた光のライン。大部分が地下に埋め込まれた建築であるにもかかわらず、安藤がここで選んだテーマは「光」だった。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
大地に穿たれた三角形や正方形の穴が切り取る瀬戸内の青い空。限定された自然の要素が人々の感性を研ぎ澄ます。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
中庭に差し込む光と影が美しいコントラストをつくり出す。季節や時間の移ろいが空間の印象を変化させる。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
傾いた壁にそって続くクレバスのような屋外通路が、建築の迷宮性を強調する。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
限定的な光が生むコンクリートの量感と質感。削ぎ落とされた空間に、考え抜かれた光が豊かな表情を与える。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
瀬戸内海をのぞむカフェテリア。美しい瀬戸内海の風景が一枚の絵のようにパノラマ状に広がる。
3:協働
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
3人のアーティストの展示室は、建築家とアーティスト、そしてディレクターの妥協のない協働が生み出した唯一無二の空間である。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
クロード・モネの「睡蓮」のための展示スペース。部屋の角は丸みを帯び、柔らかな間接光が部屋全体を包み込み、影のない浮遊感のある空間が生まれた。
地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
床には2cm角の大理石が敷き詰められ、壁は粗めの漆喰で仕上げられ、光が粒子のように拡散する。
「タイム/タイムレス/ノー・タイム」 2004、ウォルター・デ・マリア / 地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
ウォルター・デ・マリアの「Time / Timeless / No Time」が展示された部屋。天窓からは差し込む光が1日をかけて部屋を横断する。
「オープン・フィールド」2000年、ジェームズ・タレル / 地中美術館(2004) - 作者: 安藤 忠雄出典: Tadao Ando Architect & Associates
ジェームズ・タレルの「オープン・フィールド」。光を扱う作家による3つの恒久作品が展示されている。
地中美術館は我々を芸術作品への旅へと誘うとともに、われわれ自身の内面への旅にも誘うのである–– 鈴木博之(鈴木博之「安藤行基説序説」安藤忠雄著『Tadao Ando 3 Inside Japan』TOTO出版、 2008年)
執筆:川勝真一
編集:和田隆介
ディレクション:neucitora
監修:安藤忠雄建築研究所