優しさと遊び心が詰まった「藤子・F・不二雄ミュージアム」へ

藤子・F・不二雄のあたたかな世界を堪能できる、ミュージアム・ツアーへ出発!

屋上 はらっぱ出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

半世紀以上も愛される作品を生んだ日本が誇るまんが家、藤子・F・不二雄(1933-1996)。彼のイマジネーションあふれる世界に触れられる場所がある。「子どもたちのファーストミュージアム」にふさわしい、優しさと遊び心が散りばめられた「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」ツアーへ。

エントランス出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

愛すべきキャラクターたちがお出迎え!


「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」へ足を踏み入れると出迎えてくれるのが、『ドラえもん』(小学館、1970)をはじめ、『パーマン』(小学館、1967)、『キテレツ大百科』(家の光協会、1974)など、藤子Fが生んだ名作のキャラクターたちがレリーフになった「笑いの壁」。生涯にわたって子どものための作品を描き続けた彼らしい、夢あふれる空間に心が躍る。

展示室Ⅰ ©︎Fujiko-Pro出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

言葉と資料から、創作の現場に迫る

藤子Fと長年をともにした正子夫人が「ファンに恩返しをしたい」との想いで設立にいたった、貴重な原画や資料の数々が収められているミュージアム。展示のトップバッターは、藤子F本人の言葉や映像とともに紹介される『ドラえもん』の軌跡だ。誕生から50年たった2020年、12言語でマンガは翻訳、さらに55ヶ国でアニメ放送されているという、時代をこえた傑作の歩みを感じられる。

展示室Ⅰ (常設展示)の展示「まんがができるまで」©︎Fujiko-Pro出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

キャラたちがまんが作りをナビ

「マンガ文化の継承」がテーマのひとつでもあるミュージアムだけに、マンガの描き方もしっかり伝授。ガイドしてくれるのは、『ドラえもん』の2人の主人公、ドラえもんとのび太だ。立体的に浮かび上がった姿に、子どもたちの目も思わず釘付け。楽しみながらマンガ制作に触れてほしいという、ミュージアムの温かな思いが伝わってくる。

展示室Ⅱ出典: ©Fujiko-Pro

原画は「生きていた時間」そのもの


ミュージアムが所蔵するまんが原画は、約5万枚にものぼる。正子夫人はその膨大なまんが原画を、藤子Fの“生きていた時間そのもの”と表現したそう。貴重な原画は温度・湿度管理のもと細心の注意をはらって保管され、展示公開する場合は作品にダメージを与えないよう、複製原画と入れ替えながら展示を行うことも。

藤子 F先生の部屋出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

「好き」がつまった仕事部屋

ヒストリーロードを抜けると「先生の部屋」へ。まるですぐ先ほどまで藤子Fがいたようにリアルな創造の場がお目見えする。デスクに飾られている恐竜たちのフィギュアに加え、天井に展示された書籍や鉄道模型、映画のレーザーディスクの数々はすべて実際に使われていたもの。多忙な生活のなかでも、幼少期からずっと変わらない「好き」を貫いていた彼。好奇心の塊だった、趣味人の素顔が見えてくるよう。

企画展示「ドラえもん50周年展」(2020年)の展示出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

広く深く掘り下げる企画展

定期的に入れ替わる企画展は、藤子Fが描いた多くの作品に触れる絶好のチャンスだ。様々な作品をより広く、『ドラえもん』などの代表作はより深く知れる構成になっている。 藤子F作品は、少女マンガや青年向けマンガまで幅広いジャンルにわたっており、新たな切り口でまんが原画を紹介できるよう、展示テーマは毎回吟味されている。

企画展示「ドラえもん50周年展」の展示出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

懐かしい思い出まで蘇る

展示されているカラー原稿やイラストたち。藤子F本人が鉛筆で書いた指示が残るものもあり、創作の痕跡が伝わってくるよう。懐かしさと新たな発見がある藤子Fの作品を通して、大人も自分の子ども時代にタイムスリップした感覚になれるのだ。

きこりの泉出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

実は人気者! ユーモアあふれる仕掛け

『ドラえもん』の登場人物の1人である、ジャイアンこと剛田武。意外に人気者である彼が、ハンサムに変身した伝説のエピソードをモチーフにしたコーナーは、定番撮影スポットのひとつでもある。レバーを動かすと、水に浸かった彼が……どうなるのかはミュージアムでのお楽しみ。

先生のにちようび 展示コーナー出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

夫&父としての顔をのぞいて

知られざる家庭人としての藤子Fの顔も、期待を裏切らない。「先生のにちようび」では、家族にまつわる写真や藤子F本人が撮影した映像などを通して、温かくチャーミングな人柄に触れることができる。仕事帰りに3人の子どもたちそれぞれの成長と性格にあわせた絵本を購入し、自ら読み聞かせていたという。正子夫人が彼にあてた手紙からは、家族の絆と感謝が伝わってくる。

まんがコーナー出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

ドラえもんと一緒に読書体験


藤子F作品を閲覧できる「まんがコーナー」。ありふれた日常のなかで藤子F流SF(S=すこし、F=ふしぎ)が繰り広げられる作品たちは、日本のマンガ文化に欠かせない存在だ。目指したのは、子どものための良質なエンターテインメント。だからこそ、藤子Fが描いたまんが作品の魅力は「普遍的な面白さ」にあると言えるだろう。どの時代のどの国の子どもや、かつて子どもだった大人にも夢を感じさせてくれるのだ。

みんなのひろば出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

たくさんの不思議が待っている


子どもたちが目の色を変える「みんなのひろば」では、「すこしふしぎ」な仕掛けがお待ちかね。大型のボールコースターに映像を取り入れた楽しい装飾に加え、のび太の家の1/5サイズジオラマ、ドラえもんのまんが研究ノート、ドラえもんとドラミのクリアな筐体が目印のガチャガチャ、さらにオリジナルスタンプ制作マシンなどが並ぶ解放感あふれる空間は、まさにワクワクの宝庫だ。

Fシアター出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

オリジナル上映は定期的にチェック

ここでしか出会えない、ミュージアムのオリジナル短編作品を上映する「Fシアター」。作品の入れ替えは不定期で行われる。シックな廊下を抜けると目に飛び込んでくるのは、なんと200インチの大スクリーン。臨場感たっぷりな鑑賞中、子どもも大人も同じところで笑い出すのが面白い。

屋上 はらっぱ出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

自分なりの楽しみ方を探したい

ミュージアム屋上にある「はらっぱ」は、キャラクターたちのモニュメントが点在し、大人気の「どこでもドア」、「空き地の土管」などが揃う憩いの場。来館者同士で写真を撮りあう、といった微笑ましい風景も珍しくない。なかには、ドラえもんカラーのブルーを基調にしたペアルックで訪れる人も。

ミュージアムカフェ(写真はイメージです)出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

遊び心が隠し味

キュートなフードメニューに、「食べるのがもったいない!」という声があがるのはミュージアムカフェ。「はらっぱ」に面し自然光が降り注ぐ空間は、休憩にぴったり。人気のキャラクターをモチーフにしたフードやドリンクで、エネルギーをチャージしよう。

ミュージアムショップ出典: 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

思い出を形に変えて

楽しかったミュージアムからの帰り道は、ユーモアあふれるグッズを持ち帰りたい。クリアファイルなどの定番アイテムも、くすっと笑ってしまうデザインばかりだ。

2021年に開館10周年を迎えた「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」。いつ読んでも新鮮な藤子F作品同様、何度訪れても新しいワクワクがあなたを待っている。

提供: ストーリー

当記事は、2020年8月に取材し制作したものです。

参考文献:
・「藤子・F・不二雄の世界」藤子プロ.
政府広報オンライン「世界に羽ばたいたドラえもん」

協力:
川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム
藤子プロ

撮影:安島 晋作
執筆・編集:大司 麻紀子
編集:林田 沙織
制作:Skyrocket 株式会社

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
もっと見る
関連するテーマ
Manga Out Of The Box
漫画の歴史から、漫画がもたらしたアート作品まで
テーマを見る

Visual arts に興味をお持ちですか?

パーソナライズされた Culture Weekly で最新情報を入手しましょう

これで準備完了です。

最初の Culture Weekly が今週届きます。

ホーム
発見
プレイ
現在地周辺
お気に入り