作成: 鳥取県
鳥取県
淀江傘の起こり
淀江傘の起こりは、文政4年(1821年)に倉吉から淀江に来た倉吉屋周蔵が傘屋を開いたことによると言われております。そして、明治14(1881)年に津山の西金蔵が傘製造の指導に招かれたのが、淀江傘発展の糸口となりました。
淀江傘の隆盛
淀江は、日野川の流砂が堆積した砂浜が広く、そこに一万本以上の傘を一度に干すことができたことと、良質の竹材を入手しやすい土地柄であったことも、淀江傘発展の要因だったといえます。淀江傘は問屋傘、番傘と言われる大衆傘が主流であり、実用性に富み、丈夫なことで有名であり、戦後の傘不足の折には、年間生産量50万本にも達しました。
淀江傘の衰退
しかし、洋傘の普及により、昭和26、27年(1951年、1952年)をピークに廃業する者が増えました。昭和51年(1976年)に淀江傘製作技術が旧淀江町の指定無形文化財に指定されましたが、昭和59年(1984年)には最後の製造業者も廃業しました。現在では、「淀江傘伝承の会」の皆さんによって、地元の竹材を使用し、1本1本の傘骨から最後の仕上げまで手作りで淀江傘の製作が行われています。
淀江傘 《淀江傘 制作工程》(2016) - 作者: 映像: 高山謙吾(A-PROJECTS)鳥取県
墨打ち/線かけ/荒割
側面には斜めに罫描きをすることにより、小割にした後も、連続した部品として組み立てることができます。さらに、小口に荒割する幅の印をつけ、竹割り包丁を使い、竹を割ります。
淀江傘の定番 番傘
「唐傘(からかさ)」とも呼ばれ、淀江で1番多く製造されていた傘です。日常によく使われた傘です。一般的な番傘の他に色の付いた和紙を張った「色番傘」、傘の縁に黒い和紙を張った「裾黒番傘」などがあります。
淀江傘の定番 蛇の目傘
昔からこの地には、親が嫁ぐ娘の幸せを願い、蛇の目傘を持たせる習慣がありました。縁起が良いこの傘には、「桔梗飾り」と呼ばれる色鮮やかな糸飾りが施されております。
淀江傘 踊り傘
鳥取市で、毎年8月に行われる「しゃんしゃん祭」に使用する踊り傘です。祭りの他運動会・文化祭等のイベントとして、また舞踊などの演目のひとつとして使用されます。
新しい試み 和傘工房初音
伝承館で技術を修得し、独立した若い世代による新しい和傘づくりも試みられています。和傘工房初音 長谷川有紗さんは、昔から伝わる和傘作りをベースに、鮮やかな色使いのデザインが特徴で、実用に使えるオリジナルの和傘を製作しています。
新しい試み 和傘工房初音
和傘は、素材の殆どが自然素材で作られているため、修理すればずっと使い続ける事ができ、使う程に一層趣きが増します。また、「和傘あんどん」、「ミニ傘」、「折り紙和傘」 等も製作しています。
【協力】
・淀江傘伝承の会
・和傘工房 初音
・柄木孝志
・一般社団法人大山観光局、
【画像提供、監修&テキスト】
・鳥取県
【写真】
・前﨑信也(京都女子大学)
【翻訳】
・エディー・チャン
【翻訳監修】
・ローラ ・ミューラー
【サイト編集&制作】
・升田真帆(京都女子大学 文学部国文学科)
【プロジェクト・ディレクター】
・前﨑信也(京都女子大学 家政学部生活造形学科)
【提供】
・鳥取県