最初のドイツ・グラモフォンの商標(トレードマーク)
1898年12月6日、ベルリナー兄弟はドイツ・グラモフォンを創設しました。 そのオリジナルトレードマークは『録音する天使』(Schreibender Engel)でした。
Logo "the Recording Angel"ドイツ・グラモフォン
録音する天使のトレードマークは、グラモフォンにも飾られました。
絵画『His Master's Voice』(彼の主人の声)
1900年10月にドイツ・グラモフォンは、画家フランシス・バロウドが描いた、フォノグラフのホーンの前に座った犬の絵『His Master's Voice』をトレードマークとして登録しました。
ニッパー
この小さなテリア犬はニッパーと呼ばれていて、マーク・バロウドというステージデザイナーと、イギリスのブリストルに一緒に住んでいました。 彼らはよく一緒に音楽を聴きましたが、マークは亡くなってしまいました。 マークの死後、彼の弟のフランシス・バロウドがニッパーを引き取りました。 フランシスは、彼がフォノグラフで音楽をかけると、ニッパーがやってきてその前に座ることに気がつきました、まるで、亡くなった主人と一緒に聴いていた頃のように。 その風景に感動したバロウドは、ニッパーがフォノグラフを聴いている所を絵に描きました。彼はその後、絵をフォノグラフからグラモフォンに描きなおし、エミール・ベルリナーの会社に販売しました。
カルーソー /『Un di, all'azzurro spazio』(1907)ドイツ・グラモフォン
この写真は、たくさんの78回転レコードの中の一枚で、カルーソー(1873-1921)の歌声を録音したものです。
イエローレーベル
1948年以降、ドイツ・グラモフォンは取り扱う音楽によって、3つの事業に分け、それぞれがビジュアル・アイデンティティをもちます。 ポピュラー音楽はポリドール(Polydor)という名前で赤色、初期の音楽はアーカイブ(Archiv)で銀色、そして中心となるクラシック音楽はドイツ・グラモフォン(Deutsche Grammophon)で黄色です。
"チューリップの王冠"のオリジナルスケッチ(1940) - 作者: © Hans Domizlaffドイツ・グラモフォン
このチューリップのロゴは1949年に誕生しました。
こちらは Hans Domizlaff(1892-1971)によってデザインされた "チューリップの王冠"のオリジナルスケッチです(トレーシングペーパーに鉛筆で描かれている)。
"チューリップの王冠"
一方、『His Master's Voice』のトレードマークは、EMIのドイツ支店であるエレクトローラへ譲渡されました。 時代が移り変わる中でも、会社のロゴと同じ伝統的な書体が、トレードマークとして使われました。 中央の黄色のバンドと、そのトレードマークは、1950年代のドイツ・グラモフォンのレコードスレーブの特徴でした。
Rafael Kubelik: Gustav Mahler - Symphonie Nr. 1 „Der Titan“(2015)ドイツ・グラモフォン
レコードのラベルの縁に描いてあるチューリップの絵は、ストロボ効果を作り出すように描かれており、それによりターンテーブルの回転速度が適正か確認できます。
Berlin Philharmonic with Karajan: Strauss - Also Sprach Zarathustra.(1958)ドイツ・グラモフォン
60周年記念日の前夜に、イエローレーベルは新しい形の、Cartouche(カートリッジ、ドイツ・グラモフォンの名前の入った枠)を作成しました。(黄色の背景に、白いラインと黒の文字)。
ドイツ・グラモフォンのトレードマークの特徴は、3行で描かれた文字と、頂上のチューリップの王冠でした。
CD pack Deutsche Grammophon Originals( ©DG)ドイツ・グラモフォン
チューリップのエンブレムは、現在でも歴史的な録音のために使われています。
そして、今は?
ドイツ・グラモフォンのビジュアル・アイデンティティは長年にいたって変化し、発展してきました。 ここでお見せするのは、ドイツ・グラモフォンの創立120年を記念して作られた特別なロゴです。
Text: Rémy Louis