森の中の美術館

かつて東京の街中にあった美術館は、そこから150Km離れた森の中で生まれ変わり、現代美術を専門に紹介する美術館として活動を続けています。

セゾン現代美術館入口セゾン現代美術館

森の中の美術館

セゾン現代美術館は、日本有数のリゾート地としてしられる長野県の軽井沢に位置しています。軽井沢は、明治期にカナダ人宣教師が別荘を持ったことに始まり、日本の皇室や政財界をはじめとする上流階級の避暑地として発展し、その後は多くの文化人や芸術家たちが好んで軽井沢を訪れるようになりました。 このようにして、軽井沢は西洋文化やアートの魅力が楽しめる人気のリゾート地へと発展して行きました。この軽井沢の発展に大きく寄与していたのが、鉄道やホテルを有する西武グループの創業者・堤康次郎(つつみ・やすじろう)であり、セゾン現代美術館の前進である高輪美術館は、この堤康次郎によって設立されました。

高輪美術館外観(港区)セゾン現代美術館

高輪美術館

1981年の軽井沢での開館以前、私たちの美術館は、東京都港区の品川プリンスホテルの敷地内において、財団法人高輪美術館として活動をしていました。

高輪美術館展示風景セゾン現代美術館

この美術館は、堤康次郎が収集した絵画、仏像彫刻、蒔絵、東洋古陶磁等を一般に公開するため、1962年11月に東京の港区高輪に開館し、軽井沢へ移転する1981年7月まで活動していました。

西武美術館入口セゾン現代美術館

デパートの美術館 西武美術館/セゾン美術館

当館の移転を決定し、それまでの日本の伝統美術を紹介する美術館から、現代美術を扱う生きた美術館へ生まれ変わる決断をしたのは、セゾングループの創業者にして、詩人・小説家 辻井喬として知られる堤清二です。 この堤清二が西武百貨店の代表取締役に就任した1961年、当時の日本ではまだ知名度が低かったパウル・クレーの個展が池袋の西武百貨店で開催されました。この展覧会をきっかけに、「百貨店」という商業施設と「美術展覧会」の関係は、さらに深まりを見せて行きます。その後も西武百貨店では「ジャン・コクトー芸術展」(1962年)、「アーシル・ゴーキー素描展」(1963年)を開催し、海外の現代美術の紹介に努めて行きました。1975年、そうした活動を恒常的に実現するスペースとして、西武百貨店池袋店の中に西武美術館(1989年にセゾン美術館に改称)が開館することになります。

セゾン美術館入口セゾン現代美術館

西武美術館の開館記念展「日本現代美術の展望」展には、荒川修作、宇佐美圭司、篠原有司男、中西夏之、横尾忠則ら、当時の日本の現代美術を代表する美術家27人による絵画、彫刻、グラフィック、ヴィデオ作品等117点が展示されました。同展に出品した20名を超える美術家たちの作品が、現在のセゾン現代美術館の日本人作家のコレクションの基礎を形成しています。西武美術館と当館が展覧会を共催する体制の中で、西武美術館で個展を開催した海外作家・ジャスパー・ジョーンズ、ピエール・スーラージュ 、イヴ・クライン、そして、アンセルム・キーファーやフランチェスコ・クレメンテらの作品も当館の収蔵品になりました。 1975年から25年間にわたり、約260本の展覧会を開催した西武美術館(のちのセゾン美術館)は、1999年2月でその活動に幕を下ろしました。

軽井沢高輪美術館入口セゾン現代美術館

軽井沢高輪美術館

高輪美術館は、1981年に「現代美術」を対象に定め、同時代の様々な実験的創造の場として、固定化されない柔軟で多様な活動を行うために軽井沢の地へやってきました。開館10周年を迎えた1991年、当館の設立目的、活動方針の根幹を占める「現代美術」(英文名ではMODERN ART)を館名に示し、現代に生きる美術館として再出発しました。現在では、年間2本の展覧会の開催に合わせて、テーマを設けたコレクション展を実施し、収蔵品を一般に公開しています。

1981年8月、当館は「マルセル・デュシャン」展でその活動をスタートします。オープニング・レセプションには、デュシャン夫人やジョン・ケージらも出席し、大変華やかな美術館の幕開けになりました。

タップして利用

セゾン現代美術館

現在では、堤たか雄が代表理事・館長を務め、「自然との共生」をテーマに美術館活動を実践しています。軽井沢の自然に囲まれた建築家・菊竹清訓による美術館建築と彫刻家・若林奮による庭園は、多くの来館者を魅了し続けています。

提供: ストーリー

©︎セゾン現代美術館 SEZON MUSEUM OF MODERN ART

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