カタルーニャ

海と山が出会う場所

Artichokes at the Boquería marketスペイン王立ガストロノミー学会

カタルーニャの地図を料理で色分けするとしたら、実に彩り豊かになるでしょう。この地方の料理はカタルーニャ語で「mar i muntanya(海と山)」と称され、地元でとれる素晴らしい食材を使う伝統を重んじながら、斬新さも持ち合わせています。スペインで第 2 の料理大革命が始まったのは、まさにこの場所です。

Tebre Riceスペイン王立ガストロノミー学会

食の貯蔵庫、カタルーニャ

カタルーニャ州はスペインの自治州の 1 つで、地中海の魅力を持ち、この地独自の特産品認定を受けたヘルシーな農産物で有名です。たとえば、エブロデルタ産の米、プラデス産のジャガイモ、サンタパウ産の「フェソル」豆、バリェス産の「ガンチェット」豆、バイス産の「カルソッツ」などがあります。ちなみにカルソッツは長ネギに似た野菜で、地元では焼いて食べるのが人気です。

Olive branch and olivesスペイン王立ガストロノミー学会

一方、リェイダ産の梨、ジローナ産のリンゴ、テレス デ イエブレ産のクレメンタイン、レウス産のヘーゼルナッツといった、果物や木の実の生産も盛んです。家畜や家禽から生産される畜産物には、プラット産の地鶏、ビック産のソーセージとサラミ、ピレネー地方の子牛の肉などがあります(ピレネーでは美味しいチーズも作られます)。さらに、原産地名称保護制度の下で生産されるオリーブオイルもまた、この地域の重要な食品の 1 つです。

"Suquet" (seafood stew)スペイン王立ガストロノミー学会

多彩な料理

海の幸にも恵まれているカタルーニャでは、新鮮なウニや珍味のナマコが食べられます。カサゴを使って作る「スケット」という魚介の煮込みも定番の料理です。

Mushrooms at the Boquería marketスペイン王立ガストロノミー学会

菜園ではおいしいエンドウ豆が栽培され、山ではさまざまなキノコが育ちます。キノコが大好きなカタルーニャの人たちにとって、キノコは昔からどんな料理にも欠かせない食材です。

to be translatedスペイン王立ガストロノミー学会

この土地の料理を見れば、海と山という 2 種類の自然がはっきり浮かび上がってきます。たとえば、イカとミートボールの煮込みやチキンと海老のカタルーニャ風といった、海の幸と山の幸を組み合わせた伝統料理は今なお人々に愛されています。

Cannelloni stuffed with cheek fleshスペイン王立ガストロノミー学会

カタルーニャ料理はその地形により形作られてきた一方で、ギリシャ、ローマ、アラブの影響も強く受けています。また、フランスと国境を接していることからフランス料理の影響も受けつつ、クリスマスにはイタリア起源のカネロニを食べる習慣もあります。

"Butifarra" sausage with beansスペイン王立ガストロノミー学会

深皿によそってスプーンで食べる「エスクデージャ」のようなスープも、カタルーニャの伝統的な料理です。エクスデージャは、スペインのいたるところで見られるシチュー、「コシード」のカタルーニャ版です。キノコ、米、ヌードルのキャセロールを添えた「フリカンド」のようなシチューや、「ブティファラ」ソーセージと豆の煮込み、松の実とレーズン入りのほうれん草のソテーなど、この地域で人気の定番料理は他にもいろいろあります。

Calçotsスペイン王立ガストロノミー学会

「カルスターダ」: お祝いの日のごちそう

カタルーニャで特に興味をそそる食べ物の 1 つが、タラゴナ県バイス村の特産品である長ネギのような姿をした玉ねぎ「カルソッツ」です。

"Calçotada"スペイン王立ガストロノミー学会

伝統料理の「カルスターダ」は、剪定したブドウの枝の上でカルソッツを直火で焼き、その後新聞紙に包んで蒸して仕上げます。食べるときは外側の皮をむいてから、「サルビチャーダ」というソースをつけます。ロメスコソースというよく似たソースもありますが、どちらもカタルーニャ料理の偉大なる発明です。この料理を楽しめるのは、冬の終わりから春の始まりにかけての時期となっています。

Ferran Adriàスペイン王立ガストロノミー学会

カタルーニャ: スペイン第 2 の料理革命発祥の地

1970 年代、バスク州がスペインで最初の料理革命をもたらしました。その第 2 段階とも言える流れが、15 年ほど後、フェラン アドリア氏の手によってカタルーニャで始まりました。

Carrot Air with Bitter Coconut Milk(2003)スペイン王立ガストロノミー学会

飽くなき探究心を持つ料理人であるアドリア氏は、1980 年代半ばにレストラン「エル ブジ」のオーナーとなります。彼は、エル ブジを世界有数のレストランに押し上げただけでなく、料理界の歴史に残る画期的な場所に変身させました。

Ceps Slurps: New Ways of Tasting(2001)スペイン王立ガストロノミー学会

カタルーニャに登場したこの斬新なレストランが起こした革命は、知識と技術の応用に、革新性と独創性が加わったものでした。「エル ブジは、高級レストランに新たな表現方法をもたらしました。」そう語るのは、国際的評価が高い三ツ星レストランの 1 つ「アル サリェー ダ カン ロカ」のシェフ、ジョアン ロカ氏です。ロカ氏は、アドリア氏率いる料理革命の賛同者でもあります。

Peach Melba, elBulli's Final Dish(2011)スペイン王立ガストロノミー学会

現在のカタルーニャを代表する料理人

エル ブジは 2011 年 7 月をもって閉店しましたが、カタルーニャの料理界が斬新さを失うことはありませんでした。フェラン アドリア氏の偉大なレストランと時を同じくして始まった取り組みや、その他の新たな試みによって、その独創性は着実に進歩し続けています。

Memories of a barスペイン王立ガストロノミー学会

前衛的なシェフたちは、伝統を基に新たな料理を生み出しています。たとえば、サンティ サンタマリア氏の「海老のラビオリ ポルチーニ茸添え」、カルメ ルスカイェーダ氏の「逆さまカネロニ」、また両親のレストランの味をヒントにロカ兄弟が考えた前菜の盛り合わせなどです。元はイタリア料理のカネロニも、今ではカタルーニャの食文化に深く根付いています。

Albert Adrià出典: Restaurante elBarri

アルベルト ラウリック氏、マテウ カサーニャス氏、オリオール カストロ氏、エドゥアルド チャトルック氏は全員アドリア氏の助手を務めていた時期があり、現在ではカタルーニャで最先端の「食」を提供する重要なシェフです。この精神は、フェランの弟であるアルベルト アドリア氏がバルセロナのパラレル地区で展開している構想にも受け継がれています。

たとえば、すでに高い評価を受けているレストラン「チケッツ」、今までにない食の体験を提供する「エニグマ」など、斬新で面白いコンセプトのいくつかがこの場所に根付いています。

提供: ストーリー

テキスト: シルビア アルタサ氏。ジョーン ラス氏(スペイン王立ガストロノミー学会会員)の協力のもと執筆を担当。

画像: スペインの食とワイン / スペイン貿易投資庁 / エルブジ ファウンデーション / アル サリェー ダ カン ロカ

謝辞: ラファエル アンソン氏(スペイン王立ガストロノミー学会代表)、エレーナ ロドリゲス氏(スペイン王立ガストロノミー学会ディレクター)、マリア ガルシア氏およびキャロリーヌ ヴェルイーユ氏(いずれもスペイン王立ガストロノミー学会貢献者)

スペイン王立ガストロノミー学会

この展示は、スペインの食文化について取り上げた Google Arts & Culture とスペイン王立ガストロノミー学会による共同プロジェクトの一部です。

提供: 全展示アイテム
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